前回の続編。
こちらはルネッサンス初期を代表する1枚の絵。
マザッチョという画家が描いた三位一体のフレスコ画。
三位(さんみ)は、神を父とし、イエスを子とし、鳩や天使を聖霊とし、
一体は、文字通り、この三位を1つに合わせると考えたもの。
→ 三位一体の詳細はこちらから。 フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会にあります。

Photo by Wikipedia
フィレンツェのドゥオーモのクーポラを設計監督した
ブルネッレスキの助言を得て、数学的な遠近法をもとに描かれた絵です。
ルネッサンス初期を代表する、とっても重要な1枚のフレスコ画。
それにしても、神の頭を頂点として、
きれいな三角形を描きながら、
登場人物を配置しているのが良くわかりますね~。
平面に奥行きを出している背景演出も完璧です。
絵の前にずっといても飽くことない、すばらしい作品。
前回の絵と比べてみると、神も、イエスも、依頼人も、
みんな同じ大きさで描かれているのがよくわかります。
これが、人間中心の考え方を表す、
ルネッサンス文化の特徴の1つ。
ちなみに、前回の絵はこちらです。

この絵をよ~っく観察してみると、描かれた年代が記載されています。
1492年に描かれたようです。
すでにレオナルドダヴィンチが活躍し、
ミケランジェロは若干17歳でメキメキと頭角を表していた時期。
え? あれ~?
じゃあ、1400年前に描かれた中世時代の絵じゃないの?
当時の人々にとって、ルネッサンス芸術は、
いままでの常識を覆すようなスタイル。
かなり、コンテンポラリーなアートに映ったんじゃないでしょうか。
人の好みはそれぞれ。
昔の絵の方が趣があっていいなあ。
と思う人がいても不思議ではありません。
年があけて、今日から2011年です!
という風に、文化というのはガラリとは変われないもの。
だから、ルネッサンス時代はすべてルネッサンス芸術ではなく、
中世風のスタイルも共存していたのです。
この絵の構造は、背景に金箔がなく、奥行きもあり、四角い額縁といい、
ルネッサンスの影響が多々みられますが、
依頼人は、人間は神の僕として、
中世風に自分達を小さく描いてほしい。
と頼んだのかもしれません。
たかが1枚の絵 されど1枚の絵
どんなストーリーが隠されているのか。
いろいろ想像を巡らせながら絵を見るのも楽しいものです。
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