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フィレンツェにあるシルク工房 1/4 : ショールーム

去年の12月に予約を入れていた、待ちに待ったシルク工房の見学の日が来ました。 これはフィレンツェ市が主催した工房見学で、去年の10月下旬頃から行われていたもの。過去には同主催のメンズスーツの工房見学 へ行ってきました。

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工房のネームプレート


12月に予約をいれた時点で、すでにほぼ予約で埋まっていたこの工房。人数限定で15名。ショールームには誰でも行けるものの、工房のハートである生地を作る工場へはなかなか入ることができません。 機械がところ狭しと置かれているので、見学者に怪我をさせたり、機械を壊されたら大変という理由と、なによりもまず、職人さんの仕事を中断させてしまうことにより、生産が一時ストップしてしまうからです。 

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工房の外観


案内してくれた工房のスタッフからも、「めったに見学を許可しないので、皆様はラッキーですよ。」とおっしゃっていました。 過去に何度かお客様をショールームへご案内しましたが、この工房の存在を知った時から、「一度は工場へ足を踏み入れたい。」と強く願っていたのが、やっと現実になりました! 指折り数えて待ったシルク工房見学の日。

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呼び鈴を押して門を開けてもらいます。 特別なお客様になった気分♪


中心街からアルノ川を渡り徒歩10分ほどで辿り着くこの工房は、中心街の賑やかさからは想像できないほどに、静寂な緑に囲まれた場所にあります。 聞こえるのは機織りの音だけ。 このシルク工房は「Antico Setificio Fiorentino(アンティコ セティフィーチョ フィオレンティーノ)」といいます。 フィレンツェの伝統的なシルク工房。という意味になりますでしょうか。 歴史については後編に譲るとして、まずは、ショールームへとご案内しましょう。

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工房の中庭。とてもフィレンツェの中心街とは思えない、
小鳥がさえずる緑豊な空間です。


ショールームには、工場内で生産された各種多様な生地が陳列されており、クッションや巾着、サシェなども販売しています。

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このような部屋が生地の特徴に分けて3室あります。


アンティコ セティフィーチョ フィオレンティーノの生地のデザインは、古文記録にも登録されており、そのなかのいくつかは現在でも製作されています。そのほかのデザインに関しては、お客様のリクエストにより製作可能ということです。

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1ミリづつ織った生地の様々な模様。 デザインと光沢がため息がでるほど美しい。


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生地販売だけじゃなく、商品化したものもショールームに展示してあります。


生地の模様には様々なものがありますが、ルネッサンス時代のダマスク模様、年代の異なるシルクと麻で作ったブロケード(薄織り錦)、1600年代のシルク製ランパ織などがあります。 用途としてはインテリアが主で、モダンそしてクラシックスタイルのインテリアのどちらにも対応しています。 


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古文記録にも登録されている、さまざまな織りの生地です。


薄いシルクの生地は、シャツや結婚式用のドレスを作られる方も多いということです。ルネッサンス時代のタフタでも特に「エルミジーノ」というものは、1種から2種の糸を平織りしたもので、糸が極細のため、生地がとても薄く、さらに光によって多彩な色に見えます。この特徴はイタリア語でカンジャンテと言いますが、日本語では玉虫色と表現されることでしょう。 気になるお値段は、メートルが約250ユーロから。 


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この生地は赤へ緑へと、光の差し方により色が変幻に変ります。うつくしい~。


これらの生地を使ったドレスは、ルネッサンス時代のフレスコ画や絵画に見ることができます。ウフィッツィ美術館所蔵のミケランジェロ作の「トンド・ドーニ」の聖家族が身につけている服も、やはりエルミジーノが使われているのでしょう。

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これがミケランジェロ作の「トンド・ドーニ」です。 
生地が光を反射してメタリックのような、輝くようなエフェクトを醸し出しています。


第二次世界大戦で損傷を受けた歴史ある邸宅の修復も行い、そのなかにはローマのクイリナーレやパラッツォマダマも含まれているそうです。またシエナの祭り「パリオ」に使う旗もこの工房で作っています。世界に目を向けると、デンマーク女王やモナコ王室も顧客ということ。さらに特筆すべきは、1999年にロシアのクレムリン宮殿の修復に呼ばれたことでしょう。壁に装飾されていた生地を研究して、出元がこの工房だと分かったそうです。

余談ですが、このクレムリン宮殿修復に関わった職人は、ほとんどがトスカーナ人だったということです。なかでもフィレンツェではこの工房を始め2~3の工房が呼ばれていました。 すごいぞフィレンツェの職人さん達! 

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こんな風に、ソファやクッションにも使えます。


Antico Setificio Fiorentino S.P.A.
Via L. Bartolini, 4 50124 Firenze
Tel +39 055 213861 Fax +39 055 218174

開店時間:月~金 9時~13時/14時~17時
ショールームのある工房内には呼び鈴を押して入るようになります。

次回は工場内をご案内します。 どのように生地が織られるのでしょうか。
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誘われて フラフラ

ここは もしやもしや
数年前に連れて行ってもらった
高級生地やさんではありませんか?

ここに入った時 
突然 目頭があつくなりました なぜ?
布のにおいと共に 思い出されます

後編が楽しみです
いや~~ 誘われる 誘われる
よーこさんの フィレンツェ
[ 2009/06/02 09:39 ] [ 編集 ]

うわ~、ここに行ったんですか!羨ましい!!
想像通り、敷居の高い工房ですね。まあ、やむをえないのでしょうけど・・・。

それにしてもトンド・ドーニに使われてる服の布がこれだったとは思わなかった。彫刻的なアプローチで絵を描いたから、ああいった立体感と印影が付いた仕上がりになったんだとばかり思い込んでました。

職人の世界っておくが深いなあ。後編も楽しみにしてます。
[ 2009/06/02 11:24 ] [ 編集 ]

素敵ですね~~是非買いに行きたいです!!!
なんたって次回はソファーカバーにクッションカバーを買いに行くのですから~~~

後編が楽しみです!!!
[ 2009/06/02 16:21 ] [ 編集 ]

Re: 誘われて フラフラ

こんにちは ハッチさん!

> ここは もしやもしや
> 数年前に連れて行ってもらった
> 高級生地やさんではありませんか?

そうですよ~♪

> ここに入った時 
> 突然 目頭があつくなりました なぜ?
> 布のにおいと共に 思い出されます

時が積み重ねられた、空間と生地が、ハッチさんの心を打ったのではないでしょうか。
そして生地の美しさも素晴らしいです。
あそこは、本当に感動する空間ですね。

> 後編が楽しみです
> いや~~ 誘われる 誘われる
> よーこさんの フィレンツェ

ありがとうございます~。 どこも削れなくて結局4部作になってしまいました。
編集力がないですねえ。すいません。
これからも未知のフィレンツェをご紹介し続けますよ~。

[ 2009/06/02 21:35 ] [ 編集 ]

shunkan さん

> うわ~、ここに行ったんですか!羨ましい!!
> 想像通り、敷居の高い工房ですね。まあ、やむをえないのでしょうけど・・・。

ふっふっふ。 行ってきました~。 感動でした(泣)
呼び鈴を鳴らさないと入れなかったり、見学をなかなか許可してくれなかったりと、
敷居は高いですが、スタッフはフレンドリーでした。
スタッフのほぼ全員がサンフレディアーノ地区出身のフレディアーノでした(笑) 

> それにしてもトンド・ドーニに使われてる服の布がこれだったとは思わなかった。彫刻的なアプローチで絵を描いたから、ああいった立体感と印影が付いた仕上がりになったんだとばかり思い込んでました。

ミケランジェロが描いたから、より彫刻的になったとは思いますよ。
ほかの画家も描いているけど、ここまでの表現にはなっていないことからも、
彼の技量が推し量られると思います。

> 職人の世界っておくが深いなあ。後編も楽しみにしてます。

本当に深いですねえ。 うるうる、しっぱなしです(笑)。
明日3日には完結しますので、お楽しみに♪

[ 2009/06/02 21:42 ] [ 編集 ]

リエルさん

> 素敵ですね~~是非買いに行きたいです!!!
> なんたって次回はソファーカバーにクッションカバーを買いに行くのですから~~~

今回のブログを書いていて、まっさきにリエルさんのことが思い浮かびましたよ~。
きっと行かれたいだろうなあ。 と思っていました(笑)。
リエルさんの好きなオレンジ系の優しい色もたくさんありますよ~。

> 後編が楽しみです!!!
お楽しみに! 生地ができる工程を知ると、より生地の深みが出ると思います。

[ 2009/06/02 21:45 ] [ 編集 ]

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