彼は依頼人。
全身を黒い装束で覆い、外から見えるのは祈る両手と目だけ。

お察しの通り、身元不明にするために、全身を隠しています。
なぜ?
いまに生きる私たちは、
まるで悪いことをした人のように危ぶみますが、
黒装束に覆われているのは、恩恵を施して、なにも求めない。
無償の恩恵や愛を与えるため。
だから、どこの誰だかわかないように、
自分を覆い隠しているのです。
今回登場した黒装束の君は、絵の依頼人。
依頼人は、絵のなかに、
「自分が依頼したんだよん。ほらこれが僕。」
と、絵のなかに登場することがあります。
が、黒装束の君は、どこまでも、 どこまでも、謙遜に。

堂々と大きく描かれている聖母子像とは対照的に、
ち~~っぃちゃく 両端に描かれている依頼人。
左右にいるということは、きっとご夫妻なんでしょう。
欧州の中世時代は神中心の世界。
そのため、中世スタイルの絵では、
依頼人が黒装束は纏っていなくても、
大抵、このように、メインの絵の外に小さく描かれています。
ピンク色とのコントラストといい、
ちょっとシュールで、まんがチック。
いいねえ、かわぃぃねえ。
ルネッサンス時代になると、神中心から人間中心に置き換わり、
遠近法などが取り入れられたことによって、
いまのわたしたちの感覚に近い絵画や彫刻を見ることができるけど、
中世時代の芸術は、宗教が題材のものばかりだし、よくわかんない。
と思われるむきがありますが、ちょっと目先を変えてみると、
意外とユニークで可愛くて、面白いんですよ~。
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