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フィレンツェにあるシルク工房 4/4 : 工場内 

シルク工房案内の最終編です。こちらは、模様を織りこむ機織り機の様子。糸がいっぱい。これらの模様を1ミリづつ織っていきます。 

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実際に生地を織っている様子。 機織りをする人は座っているイメージがありますが、ここでは人間が立って、足下にある太い角材のような踏み台を上下に動かしながら織っていました。 彼女はこの道20年。


現在この工房で生産中の、生地模様。 写真左上のピンク地の模様は、糸が細い上に模様が複雑なので、1日に織れる幅は10センチだそうです。 見学者を工場内にいれることで、生産が中断することの重要さが、良く分かりました。。

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この工房で唯一の、男性機織り職人が生地を織っている様子。 ここでは2本の別種の糸を同時に織り込んでいます。 やはりこちらも足で踏み込みながら機械を動かし、さにら同時に右手で糸の操作をしていました。 かっこよかった~。 仕事っぷりに惚れました(笑)。


生地の模様はカードが作ります。カード一枚が、機織りで1回の動きです。だから、もし1つの模様が長さ90メートルとすると、90枚のカードが必要で、150メートルだったら150枚のカードが必要となります。 もしこのカードが壊れたら、生地も織れなくなります。 

いまはもう、カードを修復する職人がいないので、この工房では苦肉の策として、写真右側のように均等に穴のあいた鉄製の板に、現存するカードをあてて、穴の空いているところに、棒を指します。この鉄製の板は二重になっていて、金槌で棒をガンガンを差し込むと、中間に挟まっている新しいカードに穴が開くとういう仕組み。

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このカードを機織り機の上に掛けて、糸と連動させることにより、織りが生まれます。これが機織りの上の部分。 小さな梯子に登り、作業をします。

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この工房見学の最後に、こちらをご案内。 ちょっとピンボケしていますが、工場内にある修理室です。工場の機織り機を修復できる職人はもういないようですが、ここでは、修復家でも職人でもない、でも機械に詳しいイタリア人男性が、一人で修理しています。彼の手にかかると、不可能なことはないそう。 あらゆる想像力を駆使して直してしまう、スーパーマン。 彼がいるから、この工房も安泰でいられるのです。

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そして彼に限らず、誰が欠けても1枚の生地を完成させることができません。だから、受注を多く抱えて納品が近づいているときは、休日出勤当たり前。 熱が出ようと、みんながんばって出勤してくるそうです。 納品に間に合わせるように。というのが大前提でしょうけど、自分達の仕事に情熱と誇りを持ち、愛情があるのも、彼らを突き動かしている大きな原動力になっていることを、肌で感じた工房見学でした。

2部構成のはずが、念願の工房へ入れたという感動で、文章も内容も削れずに、結局4回にわけてご紹介するようになってしまいました。 長らくお付き合いくださいまして、ありがとうございます。


Antico Setificio Fiorentino S.P.A.
Via L. Bartolini, 4 50124 Firenze
Tel +39 055 213861 Fax +39 055 218174

開店時間:月~金 9時~13時/14時~17時
ショールームのある工房内には呼び鈴を押して入るようになります。





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フィレンツェにあるシルク工房 3/4 : 工場内 

余程の機会に恵まれないと見学ができない工場なので、じっくりお伝えしたいと思います。デジカメに付属しているビデオでも録画しましたが、そのままこのブログに掲載してしまうと、重くなってなかなかページが開けなくなってしまう恐れがあるので、いくつかは、ビデオへのアクセス・アドレスを掲載しました。 

”ご面倒でも、ぜひぜひ! ご覧ください。” 実際に動きを見ると、より心にぐっと伝わると思います!


母から娘へと受け継がれている職人達とスタッフは全員で10名。 職人達が動かす木製の機織り機は6台で1700年代もの、機械製の機織り機は7台で1800年代ものを使っています。

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工場内の様子。機械がところ狭しと置かれています。
すべて1700年代と1800年代のもの。
イタリア製、スイス製、フランス製と出所はさまざま。


シルクの染色は、フィレンツェ郊外で手作業で行われますが、すべて自然のものを使っています。 1700年代と1800年代の機織りを使って作業が進められるので、速度は遅く、そのため、仕上がった生地は耐久性に優れているそうです。染め上げられた糸は、アンティコ セティフィーチョ フィオレンティーノの工場内で紡績されます。

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糸を紡ぐ機械。極細のシクル糸です。 

動画は下をクリックしてください。
↓↓↓↓
フィレンツェのシルク工房1


DSC03923_20090602192922.jpg

この機械で実際に機織りで利用できるように糸を均等に紡いで行きます。
シルクの糸の接するところは、ガラス製か陶製でできています。
この2つの素材のみが、摩擦により糸を切らないそうです。 

動画は下をクリックしてください。
↓↓↓↓
フィレンツェのシルク工房2


工房には1700年代にレオナルドダヴィンチのデザインをもとに作らせた木製の機械もあり、いまでも元気に動いています。
DSC03935_20090602192922.jpg

これがその機械です。大きさは2メートルくらい。


下の動画は、糸を均等にしいてるところ。二人がかりの作業です。


フィレンツェのシルク工房3

この機械を、横と手前から見たところ。 糸がたくさん縦に置かれいます。

2905 setifico ecc


機織り師は全員が女性と思いきや、一人だけ男性も含まれていました。いまから5~6年前に世代替えがあったらしく、20代後半から30代後半の職人もいます。案内してくださったスタッフは、昨今は後継者の問題を抱えている職人工房が多いなか、私達は本当に恵まれています。とおっしゃっていたのが、とても印象深く心に残っています。


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機織りにかけている様子。 糸の光沢が素晴らしかったです。


気になる糸はどこから入ってくるのでしょうか? 意外ですがブラジルから輸入しているそうです。ブラジルは、蚕が食べる桑が良く育つ土壌にあるため、吐き出す糸も質が良いそうです。 中国も蚕産業は有名ですが、アンティコ セティフィーチョ フィオレンティーノが作る生地にはどうも合わないらしいです。 

次回は模様を織りこむ機織り機の様子をご案内します!


Antico Setificio Fiorentino S.P.A.
Via L. Bartolini, 4 50124 Firenze
Tel +39 055 213861 Fax +39 055 218174

開店時間:月~金 9時~13時/14時~17時
ショールームのある工房内には呼び鈴を押して入るようになります。