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最近はスーパーで買う食品が値上がりしているため、ただでさえ不景気のなか、イタリア人の家計は厳しくなっています。生産者と消費者の中間にいるイタリア国内の配送会社や小売店が生産者からは安値で購入し、消費者には高値で販売するのが一因とも言われています。
さらに、たくさん生産するためには、害虫防止のため、そして生育を促すために化学薬品などを使ってる会社も数多くあります。そしてその薬害は人間の体内だけでなく、自然に実をつけるためにとても大切な蜂の消滅にまで拍車をかけているのです。蜂がいなくなれば、いままで自然に任せていた受粉を人間が手作業で行うことになり、膨大な時間と費用がかかります。
そんな状況下でイタリアの消費者も徐々に、自分達の生活と健康を守るために立ち上がりつつあります。
これは、日曜日の21時30分からRai3で放映されるReportという番組でクローズアップされた話題です。この番組は、アリタリア問題や政治問題などを、イタリアでは珍しく、かなり掘り下げて放映している興味深い番組です。
たとえばローマの教育部門では、740校の学校給食をすべて無農薬無添加の食品に変えたところ、子供達からは膨張感や膨満感など食べものから来る悪い症状が激減したそうです。さらにプラスチック製から、食器を磁器に、フォークやナイフを金属製に、コップをガラス製に変えたために、1日のゴミの量も少なくて済みます。すると今迄よりも経費を押さえることができ、環境にも優しく、子供達は元気を取り戻しています。この試みはアメリカ、イギリス、スカンジナビアなどから環境モデルとして研究されているそうです。
北イタリアのアスティの病院でも1年前から同様の試みが行われ、病院食で使われる油はすべてエクストラヴァージンオリーブオイルにし、豆と野菜の和え物、リコッタと野菜のテリーヌ、地場で放牧された新鮮な生肉のサラダ、ミックス野菜のオーブン焼き、季節の果物などのメニューに改善しました。毎朝6時に新鮮な食材を届けるのは、すべて近場の農家の人達。それも大きな農家ではなく、ほとんどが家族経営の小さな農家で、入院している人達に美味しい物を食べて欲しいという想いもプラスされた、愛情いっぱいの食材です。もちろん無農薬無添加。
この病院も1年前までは冷凍食品を主に使っていたそうですが、流通経路をすべて一新し、患者だけでなく、院内で仕事をしている人達も、同じ食材を使った料理を食堂で食べることができます。
食事を変えることにより、患者の症状が良くなりやすく、退院日が1日早まるという結果が出ているそうです。問題のコストは、近場の農家から直接に購入しているので、普通に流通機関を通して購入するより安く済むということ。それでいて、安全で美味しい食事ができるのです。ひいては、病院も、家族経営の小さな農家の人も、安定した収入を得ることができます。
この試みは、学校や病院だけでなく、一般の生活にも広がりつつあります。無農薬無添加の農家の人達と組んだ組合が、街へ行き直接野菜を販売し、いつも盛況です。大切なのは品質、値段、組織。と言っていました。
日本では既にこのような動きがあると思いますが、イタリアもやっと消費者が気がついて動き出したことは、個人的にとても嬉しいことです。
興味のある方は下記で放送を見ることができます。イタリア語を勉強している方は語学勉強にもお役に立ててください。 http://www.rai.tv/mpplaymedia/0,,RaiTre-Report^17^157117,00.html
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