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戦前まで、アレッツォ周辺の主産業には葉巻作りがありました。近所のおばちゃん達が、ざっくり手でちぎった半生のタバコの葉を一枚一枚重ねて、葉巻が完成します。元気におしゃべりをしながら、手だけはせっせと動かしている、昔はお母さん、いまはすっかりおばあちゃん達が実演してくれた映像がこれ。 手前にある小皿に入った白いものは、小麦粉を水に溶かしたもの。これがのりの役目を果たします。
いまでも少数ではありますが、アレッツォ郊外でタバコ畑を見ることができます。トスカーナ地方では、アレッツォのほかにルッカ郊外で生産されるタバコが有名。もちろん、100%メイドインイタリーです。
イタリアではちょっと大きめのタバッキに入ると、さまざなな種類の葉巻が温度湿度管理された冷蔵庫に入って販売されています。ガイド学校時代の私達の愛すべき歴史の先生ルイジも葉巻が好きで、休み時間になると、外に出て美味しそうにぷあ~と吸っていたなあ。
ここ数年イタリアでは、ワインと葉巻の試飲会(?)が各地で催されています。今年のトリノで開催されたサローネデルグストにもブースがありました。イタリア葉巻産業、がんばれ!
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今月はアレッツォでアグリツーリズモの見本市が開催されました。トスカーナ地方を中心にイタリアの北から南まで、果てはスペイン等の欧州の国々も参加。3年前に行ったときは、あまり参加数が多くなく、う~ん今イチと感じて、行こうかどうか迷ったけど、そんな迷いは、一歩足を踏み入れて吹き飛んでしまった。良かった~来て♪
アグリツーリズムのパンフレット等が置いてあるだけと思いきや、それぞれの州が趣向を凝らし、物産品や工芸品を披露したり、できたてオリーブオイルを試飲させてくれたり、伝統食をたっぷり試食させてくれたり、500メートル歩くだけでも30分かけてしまった。
はっ!と気づいたワタシ。今回は試食とか試飲とかじゃなく、各州のアグリツーリズモで面白いのがないかなあ、良いのがないかなあ、と探しに来たことを思い出し、我に返りました。仕事しなきゃ。
それにしても、イタリアはひとつの国だけど、これほどに地方色が濃いのも珍しいのでは。衣食住、そして、歴史、文化、それぞれに特色があって面白い。イタリア中を旅行しても飽きないのは、そんなところから来るんですね。
今回はそのなかでも、カラブリアのショータイムに遭遇したので、イタリアの足先、カラブリア地方にスポットライトを当てましょう。行ったときには、おじさん達が慣れない手つきでチーズやラサミを切り分けていました。このとき、すでに試食する気満々のイタリア人がこのテーブルを囲んでいましたが、わたしは背が低いのでスイスイと先へ進み、最前列をゲット。ふふ。
お腹のぽーんと出たかっぷくのいいおじさまが、きっと仕切り人でしょう。テーブルセッティングの指示を出していました。
隣では、おばさまが手作りパスタの実演をしています。こんな木製の器を使ってパスタを作っていたんですねえ。なるほど。
待ち時間を利用して、カラブリアの伝統音楽と踊りを継承している若者達のお披露目。女の子の情熱的で激しい踊りと、民族音楽が一体となり、カラブリアの風土を肌に感じるよう。とっても良かったです。その間にも着実にテーブルに隙間なくカラブリアの伝統食が並べて行く様子。
試食タイムはすごかった。上下左右から手が伸びて来て、命からがら群衆から逃れました。もちろん、テンコ盛りの試食皿を手にして(笑)。 カラブリアはトウガラシを良く使うので辛いものが多いけど、フレッシュトマトは絶品でした。
 イタリアには日本では見られない面白いキッチン道具があります。これもその1つ。わたしも初めてみた。
トマト切り専用のナイフだそうです。 細身でちょっと弧を描いていて、これでトマトを切るとスパスパ切れるのかなあ。お値段も可愛く4ユーロ。
このお店はナイフを専門に置いているお店。 ワインオープナーもお手頃の値段からあります。 わたしはここで、錆びてしまい使いづらくなったので、新しいピーラーを購入しました。
2日前からずっと雨、アメ、あめ。 寒いし空はグレーだし、イタリアの雨期到来って感じです。
それでも先週末は快晴で、フィレンツェから車で30分ほど郊外にあるフィリーネヴァルダルノというところで開催された秋祭りに行ってきました。今年のオリーブオイルは、極旨ということで、いくつか試飲してきたけど、やっぱり、ゴクウマでした。 今週末はフィレンツェのサンタクローチェ教会広場でもオリーブオイル祭りがあり、最終週と12月の1週目は、本場レッジェーロ村というところで、品評会があります。わたしは、この本場レッジェーロでオリーブオイルをゲットしてこようかと。ふふ。楽しみ♪
この秋祭り、オリーブオイルコーナーはちっちゃく隅におかれて、メインは肉とチーズでした。肉と言っても生肉じゃなく、ハムやサラミ系。下の写真は、以前に紹介した生ソーセージ。それをパンに塗ったところ。ちょっと塩等を加えただけの豚生肉ソーセージ。新鮮じゃないと食べれないので要注意。 久しぶりに食しました。 甘くてねっとりして、肉の臭みはまったくなし。美味。
これは、人の顔の5倍以上ある田舎のサラミ。昔の農家の人は、美味しい部分で作ったハムやサラミを販売用にし、自分達は余った部分をなんとか加工して食べていました。このソプレッサータは、そんなサラミの1つ。頭の部位をぜ~んぶ刻んでまとめて茹でて、そこに香味でオレンジピールやレモンピールを入れ、にんにくとイタリアンパセリを加えるのがスタンダードなレシピ。 これは特大だけど、普通の大きさのもあります。
イタリア人でダメな人もいます。日本でモツ系が食べれないのと同じ感覚なんでしょうねえ。雑食のわたしは、ぜんぜんオーケーです。
パニーノに挟んで食べたり、前菜で食べたりしますが、これで炒めご飯を作ると、なぜかアジアンテイストなものが出来上がり、お葱を加えるとさらに美味。
このお祭りでは動物達も参加していました。午後からはランチ後の子供連れでギュウギュウでした。これはトスカーナ地方海岸沿いマレンマ地方の牛。人がいっぱいでも我関せずでゆったりと、グーグー寝ていました。
冬から春にかけては、子羊が生まれる季節。こ~んな生まれたての可愛い羊の赤ちゃんが。大人も子供も、カリーノ、カリーノ、トロッポカリーノ(可愛い、可愛い、めっちゃ可愛い)とはしゃいでいましたが、聞こえているのか、聞こえてないのか、お母さんの脇でぬくぬく熟睡中。
ちなみに、この時期は親がお乳を与えるのでチーズを生産できません。特に山羊は来春まで新鮮なチーズはお預けです。
この時期イタリアへ来る人は、各地で秋祭りをやっているので要チェックですよ♪
フィレンツェ在住の英語を母語とする人達が作る「Florentine」というフリーペーパーがあります。イタリア人とは別な視点からニュースを掲載していてなかなか面白い。ホームページもあるので、興味の有る方はぜひ。 http://www.theflorentine.net/
記事の1つに、面白いものを発見。なんでも、キャンティは長寿の地区らしい。
キャンティ地区の住民は美味しいワインを飲み、長生きし、さらに人生を楽しんでいるという調査結果が、アメリカはメリーランド州ベテスダにあるNational Institute on Aging(国立老化研究所とでも訳せるのかしら?)から発表されたそうです。
10年間に渡り、グレーヴェインキャンティとバンニャリーポリに住む1453人の老人の健康、趣味、ライフスタイルをリサーチした結果、ヨーロッパのなかでも、トスカーナ地方キャンティ地区の老人は、これといっった病気もせずに元気で暮らしているらしい。
なかなか面白い調査結果ですね~。葡萄畑に囲まれて、車もあまり通らない美味しい空気を吸いながら、滋味な郷土料理を、美味しいキャンィワインとともに食するシンプルなライフスタイル。
週末は、村単位で祭りを催したりマーケットを開いたりと、ご老人でもなにやかやと活躍の場もあるので、生き生きしている人が多い。笑顔がいいです。
村祭りの1つに、村に遊びや観光に来た人が、かなりエコノミーな料金で食事ができる、イタリア語では「サグラ」と呼ぶ、即席トラットリアが週末になるとあちこちでオープンします。そんなサグラでもご老人は大活躍。レジ係りをしたり、ウエイトレスになったりと、テキパキ動いていて、しかも楽しそう。
インターネットができなくても、携帯電話の扱い方がわからなくても、いいんです。大切なのは、仲間といること。楽しむこと。笑うこと。なのかなあ。と、キャンティのおじいちゃん達を見てると、ほのぼのした気分になります。
これは、先週末映した、キャンティ地方の葡萄畑。すっかり房を摘み取られ葉っぱだけになりました。キャンティの紅葉をパチリ。
11月はヴィーノノヴェッロ、オリーブオイル、栗、茸と、秋の風物詩でいっぱいです。 今年のオリーブオイルは美味しいそうですよ♪
さて、先週11月1日(土)は祝日でした。Tutti Santiといって、全聖人の日。イタリアでは、毎日聖人の名が付けられています。そう、365人の聖人がそれぞれ自分の日を持っているのです。でも、ながい歴史の間、365日間に入りきれなかった聖人達がいます。そんな聖人をひとからげにしてお祝いするのが、この日です。
ちなみに、翌日の11月2日は死人の日。日本のお盆と一緒で、家族のお墓参りに行きます。毎年この2日間は雨が良く降るのですが、今年は2日間とも、ちょっと曇りだったけど、雨は降りませんでした。
祝日、そして、あと2月でクリスマス。この季節、イタリアではあちこちで村祭りやマーケットが開かれます。
いろいろなマーケットが開かれるなか、先週の土曜日はサンタクローチェ広場で開かれたメルカターレへ行ってきました。 農家の人達が直売する青空市場です。 スタンドがだいたい50店並び、ハム類、チーズ、蜂蜜、栗お菓子、果物、オリーブオイル等々が並びました。
ちょうどお昼時ということもあり、スタンドの前にはひとヒト人。ちなみに、建物の間に見える塔は、ヴェッキオ宮殿です。
これは、シエナの豚「チンタセネーゼ」で作った中世風フィノッキオーナ。フィノッキオーナは、トスカーナのサラミで、黒こしょうの代わりにフェンネルの種が入っていて、サラミと言いつつ、肉が柔らかい。 この中世風フィノッキオーナは、ちょっと油身が多し。でも甘くて旨かった。
これは、生でも食べれるソーセージ。豚の肉だけど、胡椒や塩でちょっとマリネ状態にして、フレッシュな肉を腸詰めにします。色が黒目なのは、チンタセネーゼだから。通常はもっとピンク色をしています。
最初にこのソーセージの存在を知ったときはショッキングでした。だって豚の生肉を食べるんだもの。恐るおそる食べてみると、甘みが口のなかにひろが~る。おいし~い。 新鮮な生肉ってこんなに甘いんだと感心したのを覚えてます。お肉やさんや高級食材店で購入可能。かならず生で食べれるくらい新鮮かを聞くことを忘れずに。
これは、フェガテッリといい、豚のレバーを低温で揚げて、月桂樹の葉っぱで挟んだら紐でクルクルと巻き、それを、豚のレバーに漬込みます。そうすることで、空気に触れずに酸化を防ぎ、保存食として日持ちがするのです。冷蔵庫がない当時の素晴らしき知恵。
広場では、こんな人形劇もやっていました。素朴て可愛かった。
こちらはチーズ各種と蜂蜜。おばさんの右手にある、くり抜かれたような大きなチーズは羊のお乳で作ったゴルゴンゾーラ。本来は牛のお乳で作る物だけど、こちらの羊のゴルゴンゾーラは、軽めな舌触りで臭みが少なく美味しかったです。
最後は、生ハム。チーズと同じスタンドに、ご夫妻で参加していました。
先に順番待ちをしていた、女性の手がチラチラ見えてちょっと見づらいですが、おじさんが、手で丁寧に薄く均等に生ハムを切っている姿です。色も艶も美しい。もちろん、味もグッドです。
今回は前回の話しの続きです。
父コジモ1世の意思を受け継いだフェルディナンド1世の代に、リボルノ港はトスカーナで最も重要な港の1つに急成長しました。
質問)彼はどんな政策を立てたのでしょう。
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答え)彼は「ポルト・フランコ」、すなわち免税を導入したのです。
来るもの拒まず。誰でもオーケー。過去歴も、宗教も、思想も、国籍も、な~んにも関係なく、誰でもすぐにリボルノ市民になれたんです。そんなこんなで、わずか数年で住民が一挙に増えることになり、人がいるところに商売ありで、工房がたくさんでき、商業が発達し、港も活気づき、さらには商売上手なユダヤ人も移住してくるようになり、あっという間にジェノヴァに継ぐ港に成長しました。
ここで、ちょっとした疑問が湧きます。 どうして海を持たないフィレンツェのメディチ家が港開発に力を入れたのか。
それは、経済的に行き詰まり、どうしようもなく、突破口を海へ目を向けたからです。この判断が吉と出て、ルネッサンス最盛期のクアットロチェント(1400年代)以来、すっかり陰を潜めていた、フィレンツェそしてトスカーナが経済的に盛り返すようになります。
フィレンツェのシニョーリア広場にネプチューン像がありますが、これはコジモ1世がリボルノ港を開発したことを記念して作られました。よく見るとネプチューンの顔はコジモ1世に似ています。ネプチューンは海を守る神様。コジモ1世がサントステーファノ騎士団を作り、海を守ったことの意味合いを込めて、この噴水が作られました。噴水の水は、海を表しています。
そして噴水の正面向かって左側には、コジモ1世のブロンズ製の騎馬像があります。
これにならい、息子のフェルディナンド1世も噴水と自分の騎馬像を作らせました。それは、フィレンツェの北側に位置するサンティッシマアヌンツィアータ広場に見ることができます。この舌を噛みそうな長い名前の広場に着くと、まず目に入るのは彼の騎馬像。
余談: 手持ちの写真を探してみたけど騎馬像と噴水の写真が、無い! ということで、土曜日に写真を撮りに広場に行ってみると市場が立っていました。賑やかでついつい足を止めてしまいましたが、本来なら、この広場は、ガランとして騎馬像と噴水が良く見えるのです。。
彼の後方左右には、対象的に2つの噴水があります。よく見ると海獣が上と下とで向き合っていますが、これも、やはりリボルノ街と港の拡張とサントステーファノ騎士団を象徴しています。 (噴水後方左手に騎馬像の後ろ姿が見えますが、わかりますか?)
そしてこれとまったく同じモニュメントを、リボルノ街のミケーリ広場裏手の通りに見ることができます。こちらはコピーで、1964年にフィレンツェから贈られたものです。
切ってもきれない、フィレンツェとリボルノの関係は、実はと~い昔、メディチ家に由来していたのでした。 いまのリボルノは、ベネツィア地区なども整備され、随分良くなりました。 ピサからも電車で15分ほど。 土曜日には中心街で活気のある市場も開かれます♪
トスカーナ地方海岸沿いにあるリボルノ市。観光や商用の大型船が常に乗り入れするイタリアでも重要な港の1つです。このリボルノ港を開発したのは、なんの縁もなさそうな、フィレンツェのメディチ家でした。 だからリボルノにはメディチ港なんていう名前のついた港もあります。
初代トスカーナ大公メディチ家のコジモ1世が現在のリボルノ港の基礎を築いたのが16世紀中期。コジモ1世は、彼の憧れだったマルタ騎士団を真似て、サントステーファノ騎士団を作りました。
この時代は、一歩外にでると海賊が待ち構えていて、海を渡るのも命がけ。海賊達は北アフリカのチュニジア人やモロッコ人で、ヨーロッパから来る船を略奪したり奴隷として捕まえたりと、海を荒し放題でした。
「これではいけない。」
そこで結成されたのがサントステーファノ騎士団です。この騎士団が、航海中の船乗りを海賊から守るようになり、いままでより安全に航海できるようなったのは言うまでもありません。
リボルノ港近くのミケーリ広場には、4モーリというモニュメントがあります。モーリとは「黒褐色の人」という意味で、海を荒らしていた海賊を指しています。彼らが鎖に繋がれていることから想像できるように、このモニュメントは、メディチ家が、海賊を追いやり、航海中の船乗りが安全に航海できるようになったことを記念しています。
モニュメントは16世紀後半に作られ、1700年中期に完成しました。4人の海賊の上に立っているのは、コジモ1世と思いきや、若死にした跡取り息子フランチェスコ1世を継いで大公になった次男のフェルディナンド1世です(ややこしい)。
彼がこのモニュメントの発注主だから。というのも理由の1つですが、もう1つ大きな理由があります。それは、父コジモ1世の意思を受け継いだフェルディナンド1世の代に、リボルノ港はトスカーナで最も重要な港の1つに急成長するからです。
さて彼はどうやって港を大きくさせたのでしょう。
みなさんだったらどうしますか? 答えは次回のブログで!
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