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フィレンツェでマーブル紙作り

綾さんとは数年前からのお付き合い。最初の出会いは工房見学でした。前回からはマーブル紙作りをするために(と言っても過言ではないほど)、フィレンツェにご旅行に来られます。 イラストを描くのが上手な方で、特に料理や食材を愛情をこめて本当に美味しそうに表現します。 その才能が認められ、去年は本を出版されました。 イラスト&マーブル紙。二つの「好きなこと」を合わせた素敵な一冊です。

今回は次の目標に向かってほぼ毎日工房でマーブル紙作り。マーブル紙ってどのように作るのでしょうか? 綾さんに承諾を頂いたので、その模様をお伝えしま~す。

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まずは浴槽に色を置きます。
簡単そうですが、均等に色を散らすのが難しい。


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色を縦に切りながら混ぜ合わせます。速度が命。


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さて、ここから模様付け開始。 
色々なタイプの櫛があり、間隔が狭いもの広いものさまざまです。
どれを選ぶかは、作り手次第。


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じゃじゃ~ん。すごいでしょう! 
マーブル紙作りで一番楽しい工程じゃないかしら。
タイプの違う櫛を使い分けることによって、様々なデザインが作れます。


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水面に模様が完成したら、紙で吸い取ります。 
紙の内側に空気が入らないように、そ~っと慎重に、かつ、素早く。


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数秒間置いてからスルスルっと浴槽から紙を引くと、こんな風に模様が出ます。


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こんな風に櫛を使わなくても作れます。
これは百合模様。きれ~い。


色作りから始まり、配色も模様も、すべて綾さんが一人で作業を進めていました。
今回は師匠は脇でちょっと助言をするだけ。 
年齢も言葉も違うのに、でもなんか通じちゃう、国を超えた師匠と弟子。
見ていて微笑ましくなりました。

マーブル紙体験は初心者からできます。
興味のある方はわたしまでお問い合わせくださいね。

>>>>>>> お問い合わせ先: yoko.ig@gmail.com <<<<<<<<<



ここで綾さんの本をちょっとご紹介。 
イタリアで食べ歩いたメニューやレシピが自筆のイラストで紹介されています。
もちろん、表紙のマーブル紙も綾さんが前回作ったもの。
興味のある方はぜひご覧くださいね。 
レストランのメニューデザイン等も手がけています。

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イタリア 小さな食の美術館
著者:AYA SUGIURA
ISBN 978-4-88519-308-8 C0026
定価 2,857円+税

フィレンツェのファッションと職人

フィレンツェは、ファッションと職人が切ってもきれない仲。そんな関係を知ってもらおうとフィレンツェ市が企画した工房巡りをご紹介します。

フィレンツェは中世時代から商業組合が栄え、特にアルテ・デラ・ラナという羊毛業組合はその富と権力を誇り、フィレンツェ市から依頼され大聖堂建設のスポンサーにまでなりました。

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アルテ・デラ・ラナのシンボル

1400年代に入るとアルテ・デラ・セータというシルク産業もフィレンツェの大切な商業の一つとなります。美しい生地から作られる、優雅で豪華なメイド・イン・フィレンツェのドレスやメンズ服は、フィレンツェの貴族はもちろん、諸外国の皇族や貴族の御用達でした。

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アルテ・デラ・セータのシンボル

さらには、他の様々な組合がお洋服の装飾となるレース、刺繍、金細工、靴なども一手に引き受けていました。 フィレンツェのファッションと職人は、このように世紀を超えた重厚な歴史に培われているのです。いまでも、フィレンツェでは腕の良い逸品の作品を作る職人達が活躍しています。

もっとフィレンツェの文化をフィレンツェ人に知ってもらいたい。そんな願いがあってか、フィレンツェ市で無料の工房巡りが08年11月から09年16月まで、1週間に1回の割合で実施されています。定員限定15名。完全電話予約。

なかなか面白そう。自分のデータベース蓄積とブラッシュアップのためにも参加しようと思いましたが、ほとんど宣伝していないから、前日に電話すれば参加できるだろうとタカをくくった11月中旬。

「あら、12月まですべて予約済みよ。人気があるのは3月までいっぱい。」 と冷たいお言葉。

慌てて1月の工房巡りを予約しましたが、一番わたしが訪れたいと思った工房は、5月下旬のをやっと予約できました。まあ、なんてことでしょう。驚きです。

そしてやってきた工房巡りの日。
この日はメンズのテーラージャケット店を訪れました。ゆったりとお洒落にスーツを着こなしているお店の人が、まずはジャケットについて説明してくれます。

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なんでも、ミラノ、フィレンツェ、ナポリでジャケットのデザインが違うとのこと。

ミラノ風**現イタリア首相ベルルスコーニが着用しているのがミラノ風。特徴は肩から背中にかけて四角張っているところ。

フィレンツェ風**ミラノ風よりも角が取れて丸みがあるそうです。

ナポリ風**どちらかというと真っすぐだけど、要所にちょっと動きがあり、肩の部分がシャツのようになっているのが特徴ということ。シャツを作らせるならナポリ人と言われるくらい、ナポリには優秀なシャツ職人が揃っていることも、理由の1つでしょう。

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スーツがずらりと並ぶアトリエの1室。

お客様の身体の寸法を詳細に図ったら、パターンをおこし、完成したら試着は必ず2回するそうです。そしてこの試着時に、身体にフィットするまでミリメートル単位で細かい微調整が繰り返し行われます。だから腕を伸ばしても足を曲げても、まるで身体の一部のように動き、どこへもストレスがかかることなく、身体を自然に包んでくれるそうです。そのために、このお店でスーツを作ったお客様は、着心地の良さから、もう二度と既成のものを着れなくなるそうです。

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使われる生地は、アジアや東欧などで生産されていないかを厳重にチェックした、100%のイタリア製、フランス製、イギリス製のものを使用しています。それぞれの国によって生地の特徴が異り、スーツのデザイン等を検討しながら生地の種類も決めていきます。

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工房で仕事をする職人さん方

通りからは、お店しか見えませんが、奥はとても深くお店兼工房になっています。中庭に面した工房では長年の職人さんが、糸が縫い付けられた生地を切ったり縫ったり、丁寧に手作業で仕事をすすめていました。工房へ訪れるたびに、すべては手作業だと頭では分かっていても、実際に目の当たりにすると、やっぱり感動してしまいます。

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いつも工房へ行くと話題に出る後継者問題。イタリアの若者は、コンピュータとかエンジアとか、テクノロジー関係の仕事には興味があっても、地道で忍耐と慎重さが伴い、しかも生活の保証があまりないとされる、職人の仕事に魅力を感じていないよう。

それはどの国でも同じかもしれませんが、そこでがんばっているのが日本人。仕事柄、様々な工房へ訪れますが、行く先々で、狭い工房のなか背中を丸めながら懸命に手先に集中している頼もしい日本人に出会います。 がんばれ日本人! 素敵な職人さんになってください。そしてイタリア人の職人を育てるためにも、イタリアの政府や市が動いてくれますように。

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一緒に訪れたフィレンツェのご夫人方(14名女性+1名男性)も興味津々。

お店:
Liverano & Liverano
Via Dei Fossi, 43r. - 50123 Firenze Italia
Tel. 055 239 6436
Fax. 055 267 6435
http://www.liverano.com/indexit.htm


メタル小物職人

フィレンツェを案内するようになり、初めて足を踏み入れた職人工房。あれから年月が経ちましたが、いまだに魅惑の力は衰えることなく、心にぐっと迫って来ます。金属の塊や木の木片を切って延ばして装飾を施してと、本当に過程の1つづつが手で作られていて、その工程は見ているだけでも楽しく驚きの発見ばかり。機械で大量生産される物を見慣れた私には、かなりインパクトが強くショッキングでした。

手作りだから高価と思いきや、実際に作っている場で購入できるから、工房のタイプによってはエコノミーな金額で入手可能。ここ数年のクリスマスプレゼントは、そんな工房で選んでいます。狭い部屋には様々な作品が並べられていて、宝探しのように選ぶのが楽しい。

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今回は私の中での最近のニューエントリー、メタル小物職人工房の紹介です。この工房は普通のアパートの中にあり、呼び鈴を押して入って行きます。通りからまったく見ることができないので、この工房と出会うのに時間がかかってしまいました。

職人はジュリアーノ・リッチさん。46年間この仕事に携わっていて、メタル小物工房はフィレンツェでここ一件だけ。場所は、サントスピリト広場12番地にあります。主に真鍮や銅を加工して小物を作っています。地下と1階には機械の置いてある部屋、ジュエリー工房のように歯医者さんのような機械が並べられている部屋、磨きをかける部屋、ショールームといった具合。

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メタルに模様をつけるための型は、約100年間の歴史が詰まっているデザインばかり。工房オリジナルのものからお客様の特別オーダーのものまで40~50種類あります。

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1900年代初頭の機械はいまだに現役。この機械に型とメタルを押さえて模様が付けられます。それにしても、この時代の機械は美しい。出会うたびに感動。機能美とでも言うんでしょうか。

雑然とした工房で作られる製品の顧客は、サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局、クリスチャン・ディオール、ハロッズ、ポッジ(フィレンツェの老舗の高級小物&食器店)、ニーナ・リッチ等。この小さな工房から世界へと輸出されていきます。奥さんのマリアさんと二人三脚でここまでやって来ました。年間の生産数は約15,000個。

製品には、小さなバッグ、名刺入れ、フォトスタンド、小物入れ、ピルケース、手鏡、キーホルダー、ペンダンド、指輪、ブレスレッド、ネックレス、etc...。

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ジュリアーノが1つづつ心を込めて作ったも製品が、ショールームに所狭しと並んでいます。工房見学では、1ユーロで思い出に残る小さなオブジェを手にすることができます。それはいったい何でしょう。それは行ったときのお楽しみ♪ 

このような職人工房見学を行っています。
どのような工房を見学されたいか希望をお伺いして、3.5時間で約3件の工房をご紹介します。
→詳細はこちらから「職人工房見学」。

>>>>>>> お問い合わせ先: yoko.ig@gmail.com <<<<<<<<<




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