オーガニックの青空市場。フィレンツェから高速に乗って車で20分ほどの、ピストイア県の田舎で週末に開催されます。オレンジ地区になったときに行ってきた。
(イタリアは色別に3地区に分けられていて、黄色は県外移動可能、オレンジ色は県内移動可能、赤地区は住んでる地区のみ移動可能)

不揃いで、スーパーより少し値段も高めだけど、味がちがう。りんごはりんご、サラダはサラダの、濃い味がする。

葉厚な、しっかり噛むサラダ菜。根の部分に土が入り込んでいるから、しっかり水洗い必須。たまにバッタと遭遇することも。

バリバリ、モリモリなルッコラ。これだけ大きいから辛みは抑えめで、シャキシャキ感が際立ってました。右上にチラりと見えるのはソーセージ。写真に写り込んじゃいましたー。

チーズ盛りだくさん。小さなマーケットだけど、3店舗くらい入っています。ここは、その1店。羊と牛のチーズがメインの農園。
オーガニックのチーズ農園って、放牧して乳絞ってチーズ作る、ハイジのような生活をしているからか、なんとなくヒッピー風の人たちが多し。味は抜群。

そもそも、なぜ地元の小さな青空市場を知ったかというと、知人の彼氏がシシリアにオーガニック農園を持っている。
彼がシシリアから新鮮なフルーツを運んで、この青空市場で販売しています。いまの時期は、みかん、ナーベルオレンジ(Arancia navel)、タロッコオレンジ、レモン、アボカド、金柑、パパイヤ、マンゴー、などなど。
シシリアだから、やっぱり柑橘系のフルーツは外せないけど、昨今の温暖化現象でトロピカルフルーツも育つようになったようです。
石のように固いレモンとアボカド。りんごと一緒にすることにより、熟成が進むらしい。アボカドを食べれるようになるのは来年かな。レモンもオーガニックだから、ピールするにも最適。

前述したタロッコオレンジは、日本ではブラッディオレンジと呼ばれる赤い果汁のオレンジ。今回のは収穫最初のもの。だから、まだ赤みが薄い。本格的なタロッコは1月から3月の冬のシーズン。

イタリアのバールでは、ブラッディオレンジを出してくれるところもあるから、冬にイタリアを訪れる場合には、絶対に試すべしオススメ、ナンバー1。
フレッシュ&ジュージーな、真っ赤なブラッディオレンジを旬で楽しめます。
次回のマーケットは1月初旬。今回のブラッディオレンジは、ちょっと酸っぱめだったけど、次は赤くて甘いオレンジジに育っているからし。
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クリスマスシーズンに流れてきたニュース。
ファーストフード・イン・ポンペイ
2000年前のファーストフード店。
ポンペイで見つかる!

Photo by Gambero Rosso
お客さんが好きなものを注文し、適当な場所で立ち食いする。そんなお店だったらしい。古代ローマ人は、テルマエロマエのテーマにもなったように、温泉好き。そして、食べるのも好き。
こういったお店は、Thermopolium(テルモポリウム)と呼ばれ、
Therm(テルモ)は、サーモル。熱とか温度とか保湿、温かいの意味。
Polio(ポリオ)は販売。の意味。
温かい食べ物や飲み物を販売するところ。
古代ローマ人っていうと、とおい、とぉい、悠久の流れのずっと向こうの存在だけど、遺跡から知りうるに、2000年後に生きるわたしたちと、あまり変わらない生活をしていたみたい。

Photo by Gambero Rosso
縦置きのカマドのような釜の底からは、食べ物も見つかったそう。いままでも、炭化した食べ物は見つかっていたけど、今回のように、お客さんに提供するお店から見つかるのは珍しい。
かまどの側面には、イラストが描かれいてる。
ニワトリ、超リアル。
隣には鴨がいる。
黄色がなんて鮮やか。2000年前なのに。
カマドからは、なんと鴨の骨も出てきた。
ほかにも、豚、魚、かたつむり、など。
動物の肉と魚を合わせたパエリア風の料理もあったらしい。

Photo by Gambero Rosso
お店の前には、井戸や噴水が完備されている広場あり。
犬も描かれているから、ファーストフードでテイクアウトしたら、リードをつけた犬と広場に移動して、飲み食いしては、友達とおしゃべり。すごく想像できる。
79年のベスビオ山の噴火により埋没した街ポンペイ。
予算の関係で、発掘作業は、頓挫して、再開して、の繰り返し。
いったい、どれくらいまだ地中に埋もれているんだろう。

空を飛べるようになる頃には、新しく発掘された2000年前のファーストフードを見れるといいですね。
イタリアを含む欧州全土で、昨日12月27日からワクチン接種が始まりました。医療関係者と老人ホーム入居者が最優先で行われています。
ワクチン開発に時間がかかると言われているのに、1年以内という短期間にワクチンが開発されて接種実施。国間のごたごたはあるにせよ、人類の叡智と努力の結晶。携わっている研究者に感謝です。
ファーストフードの動画あります。
イタリアの文化財・文化活動省(MiBACT)より。
https://youtu.be/gg-DypTyY4M
畑のお肉と言われる豆。イタリアでは豆類をレグーミ(Legumi)と呼び、その種類には、白豆、ファッロ(スペルト小麦)、レンティッケ、ひよこ豆..,、さまざま。 レシピもいろいろ。
* シンプルに茹でてゴロゴロ豆のまま食べる。
* ミキサーにかけてクリーム状にする
* トマトソースと煮込こむ。
* サラダに加える。
この一品は、ひよこ豆が両脇を固める、鱈のソテー。どっちがメインかわからないほどの、ひよこ豆のボリューム感。

茹でたひよこ豆に、オリーブオイルと塩と胡椒で味付けしただけ。淡白な鱈と良く合います。
安くて保存ができて、栄養もある。
昔は、お肉は裕福だったり地位の高い人が食し、豆は庶民の食べ物。
いまも、お豆は家庭で大活躍。

これは、白豆とスペルト小麦を煮込んだ豆スープ。スペルト小麦は茹でると食感がプチプチで、やみつきになっちゃう。
>大豆のように一晩浸けておく必要がなく、思い立ったときに作れる手軽さもいい。圧力鍋があれば、あっという間に完成。
今年のエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを一雫垂らして、胡椒を少々。心も温まる一品。
こちらは、アンニバーレ・カラッチという画家が1584年から1585年にかけて描いた作品。タイトル「豆を食べる人」。

1500年代も豆を喰らい、2000年代も豆を食らう、イタリア人。
豆食いイタリア人、500年経っても健在。
前回の続き。
イタリアで彼の名を出して、知らないイタリア人はいない有名人、Pellegrino Artusi(ペッレグリーノ・アルトゥージ)のお話し。

初版は1891年。現在も重版されている、1大ベストセラーのレシピ本「La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene(イタリア料理大全 厨房の学と良い食の術)」の作家です。
イタリアでは、シンプルにArtusi (アルトゥージ)と呼ばれている、家庭の愛読書の1つ。

これは我が家のアルトゥージ。
実家は絹織物販売で成功し、アルトゥージもその一端を担っていたけど、50歳になるかならないかのときに、もともと好きじゃなかった販売業から手を引き、執筆活動を始めます。
まあ、言うなれば、悠々自適。お金はあるし、時間もあるし。
お料理の上手なお手伝いさんを雇い、愛猫2匹と、本と、友達に囲まれたくらし。
楽しそうだ。
当時のフィレンツェは、トスカーナ大公国統治国で、治安も含めて安全な国だったので、家族全員で引越しフィレンツェに住んでいました。

ある日、トスカーナ海岸沿いのリボルノ街でお野菜のスープ(ミネストローネ)を食べた、その夜、悶絶の苦しみを味わう。
まったく!昨晩食べたスープに当たったか!!
最初はプンプンしていたけど、彼がリボルノを訪れた時はちょうとコレラが街中で猛威を振るっていたとの情報を入手。
「ということは、だ。」
「あのスープを食べたから、コレラの最初の兆候である腹痛だけで済んだのか。」
料理は好きだったけど、このエピソードをきっかけに、もともと書くことの好
きなアルトゥージは、レシピの研究に着手します。

やっと初版が完成!
が、出版をしようにも、出版社は鼻にもかけない。
「そーんなの、売れないよ」
「だれがそんなのに興味をもつか」
「お金を払ってまで欲しい読者なんていないよ」
とにかく、ケチョンケチョンにあしらわれたようです。
「じゃあ、いいよ。自費出版するから。」
もともとお金があるし、すでに過去に何冊か自費出版をしているので、慣れたもの。
故郷にも宣伝したけど、売れずに、よろずやに売りに出されたらしい。
打ちのめされ、完全に意気消沈していたアルトゥージ。
1000冊とかなり控えめの数で出版。
・
・
1冊、また1冊。
・
・
着実に売れていき、20年間に改訂15回も重ねています。ここまでは、すべて自費出版。
その後に、ローマの出版社から正式に発売されることに。イタリア全国から、賞賛や感謝の手紙が届くようになります。

いまや、彼はベストセラー作家。そして、いまも、ベストセラー作家。
高級レストランでの食事もいいけど、やっぱり基本は家庭で作るシンプルな料理。1800年代のレシピ本がいまも現役で活躍するイタリア料理。育み守り続ける、食文化の厚みを感じます。
そして、もう1つ、偶然とはいえ、大切な意味が含まれています。
イタリアがイタリアとして国が統一したのは1865年のこと。

各地方で口頭で語り継がれていたレシピを集めた、初めてのイタリアの郷土料理レシピ集。
ミラノ国、ベニス国、フィレンツェ国...、イタリアに小国が散りばめられて、それぞれが、ミラノ人、ベニス人、フィレンツェ人として生きてきたけど、1865年以降は、自分たちは、イタリア人。
「イタリア人」という意識を統一するためにも、このレシピ本は一役買う存在だったのです。
91歳まで生きたアルトゥージは、フィレンツェのミケランジェロ広場から、さらに上にあるサンミニアートモンテ教会のポルテサンテ墓地に埋葬されています。
*今回利用したイメージは、イタリア外務省が中心になり企画実行された食週間の映像から抽出しています。前回も案内しましたが、全部で6編あります。
https://youtu.be/juxJGDTq8LI
Pellegrino Artusi(ペッレグリーノ・アルトゥージ)という名前を聞いたことがあるかしら?
イタリアで彼の名を出して、知らないイタリア人はいない有名人。
初版は1891年。現在も重版されている、1大ベストセラーのレシピ本の作家なのです。日本版もあり。

今年はアルトゥージの没後200年に当たります。1820年8月4日誕生。
そして今週は、外務省じきじきの「クッチーナイタリアーナ(イタリア料理週間)」が開催されています。即して、外務省のYoutubeでは、アルトゥージに関する動画を見ることができるようになっています。下段にリンクしておくので、興味のある方はご覧あれ。
序文が長くなりましたが、この本のタイトル
La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene

日本語のタイトルは
イタリア料理大全 厨房の学と良い食の術
美味しく食べるための、料理の極意。 みたいな意訳でもいいかな。
790種類ものレシピを収めたこの本。
イタリアには、バイブルのように、一家に一冊は必ずあります。
100年前のレシピ健在。ここにイタリアあり。って感じです。
例えば レシピ75番 Risotto coi Piselli グリーンピースのリゾット

レシピは、ご覧の通り文字ばかり。挿絵は一切ありません。本当に、文字ばかり。
小さいフォントでツラツラと書かれいるのは、リゾットの場合は、お米の起源や歴史等の説明。料理をしながらも、材料に関する知識も学べる、1粒で2度美味しいレシピ本。
材料:5人前
* お米 500g
* バター 100g
* パルミジャーノ 適量
* 玉ねぎ 大きめの中サイズ1個
* グリーンピース
お米は洗ってはいけません(て書いてある!)。
お米を潰さないように気をつけて、布巾で軽くこすります。
玉ねぎをみじん切りにします。
バターの半量を鍋に溶かして、玉ねぎを炒めます。
玉ねぎが色づいてきたら、お米を加えてさらに炒めます。
炒めた玉ねぎの旨みをお米が吸収したら、おたま一杯分のお湯を加えて、ゆっくりとかき混ぜます。
これを何度か繰り返し、お米の芯が硬いところで(アルデンテ)、表面に小麦粉を少量を足します。
塩で味を整えたら、水分がなくなるまで火からおろさないこと。
水分がなくなってきたら、残り半量のバターと、レシピ427番のグリーンピースを適量加えます。
(注! ということは、先にレシピ427番を見なければいけないじゃないか!)
レシピ427番 塩漬け豚バラ肉(パンチェッタ)と炒めたグリーンピース
分量:記載なし
フライパンにオリーブオイルをひいて、
塩漬け豚バラ肉(パンチェッタ)、ニンニク、イタリアンパセリを炒めます。
少々の塩と胡椒を加え、ニンニクが色づいてきたらグリーンピースを加えます。
全体的に炒まったら、完了。
さて、リゾットに戻ることにしよう。
レシピ427番のグリーンピースを適量加えて、火から下ろしたら、
大きくひとつかみのすり下ろしたパルミジャーノレッジャーノチーズを最後に投入。

まあ、こんな感じで、790個のレシピが記載されています。だから、本も厚い。
いまでは、本屋に行けば人気のあるレシピを凝縮したアルトゥージの本が、10ユーロあたりから販売されています。英語もあり。
さて、そんなアルトゥージですが、どうしてレシピ本を書こうと思ったのか、いかにして出版に至ったのか、次回に、第二部でお伝えしまーす。