日本はあと少しで新年ですね。
イタリアはいま昼どき。
大晦日の夕飯作りにワタワタしているところです。
2021年もよろしくお願いします。
2021年が、みなさまにとって幸ある良き年でありますように!
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前回の「コルシーニ家のヴィラ(邸宅)にてアペリティフ」の続き。
依頼人がいて職人の仕事が成り立つ時代から、いまは、職人がセンスや技能を活かし自分たちの作品を発表し、購入してもらう時代へと移り変わりました。
そういう発表の場を設けることも、コルシーニ家は長けています。まるでルネッサンス時代のパトロンのように、職人を擁護して、ことあるごとに、展示会を開催します。
このときは、Sartoria (サルトリア「仕立て屋」)の作品が多かった。ウエディングや披露宴にも利用されるヴィラなので、そのようなお客様をターゲットにいれてのセレクトなのでしょう。
まるでアトリエような雰囲気。
すごいぞ、天井画。
美術館みたい。
こういう環境で生まれると、これが普通なのかしら。
仕立てが複雑で建築的なウエディングドレス
とにかく、美しいの。
ふと目をやると、外も美しい。
まあ、いいか。
と値段をみて妥協したものって、
飽きるものが多い。
一方で、ちょっと高いけど、
心が動かされて手に入れたものは、
何年経っても飽きない。
「心を動かされる」のが「美」なのか
「美」だから「心を動かされる」のか。
美しさに心を奪われた、
ある夏の薄暮のできごと。
Tommaso di Duccio Corsini(トーンマーゾ・ディ・ドウッチョ・コルシーニ)。
彼が、コルシーニ家で初めて名を残した人物。遡ること、1366年 
日本はその頃、南北朝時代・室町時代。
その頃のフィレンツェは、羊毛業や絹織業で成功をする商人が次から次へと現れた時代。成功した商人は、稼いだお金を元手に銀行業に参入し、その後に政界デビュー。
中世時代のサクセスストーリーを絵に描いたような、コルシーニ家。
(ちなみに、メディチ家はまだ現れていません。
一攫千金を狙いに、田舎から、ようやくフィレンツェに移り住んできた頃。)

コルシーニ家の家紋。
なにがすごいって、コルシーニ家は、代々いまも受け継がれていること。
現主はDon Filippo Corsini フィリッポ・コルシーニ公。
フィレンツェの世界は、目には見えないけど、いくつもの層が重なっていて、貴族世界が存在します。
当然のごとく、コルシーニ家の所有邸宅、数多し。
(だって、なにせ、1300年代から現在に至る。だもん
)

メッザモンテ邸宅。
オリーブ畑とブドウ畑の広がる
トスカーナの丘の上。

ウエディングやイベントにも利用されるお屋敷だけど、日が長い夏の期間は、庭園を開放。だれでも入れます。
この日は、ランチをたらふく食べていたので、アペリティフのみ。

日が落ちるにつれて、人が集まってくる。家族連れだったり、カップルだったり。大々的は告知はせずに、宣伝はSNSがメイン。
それでも、予約しないと当日は席がありません。
この日は満月で、薄暮が美しかった。
来年の夏も例年通りに開催されるんじゃないかしら。
きっと再来年も、その次の年も、開催されるはず!
フィレンツェ中心街からは車で30分弱の距離。
別世界のような美しい風景を眺めながら、夕涼みをし食事を楽しむ、ある夏の夜。
いいと思うなぁ。 ドレスコードはありません。セミカジュアルでOK。
コルシーニ家のFBに告知されます。
12月7日はスカーラ劇場の新シーズン公開初日。
今年はコロナ禍にあり、無観客での上映を決行。史上初の試み。視聴者数は、約250万人。Non c'e' male. ノンチェマーレ。 悪くない数だよね。
キャッチコピー
「あたなも最高のお席にて観劇できます」

その様子はイタリア版NHKのRai で放映されました。
ネットではストリーミングのRai Play(ライプレイ)で見れる予定だったけど、くるくるアイコンが回ってるだけで、ぜんぜん見れない。Rai Playは、いつもそう 
!!
Rai playはやっぱり、いまもクルクルしてるので、Youtubeで見ることをおすすめ。
キーワード「Prima della Scala 2020」を入力して、Youtubeで検索すると、それぞれのシーンを観ることができます。
https://www.youtube.com/results?search_query=Prima+della+Scala+2020
オペラとか、劇場とか、取っ付き難いと感じるかもしれないけど、ものは試しに立ち寄ってみてください。
わたしも苦手な方だったけど、「フィガロの結婚」でオペラデビューして、オペラを好きになった口です。
そして、スカーラとくれば、やっぱりボッレ。
若い頃のキュっとした細身の体つきも美しかったけど、筋肉ムキムキのいま姿も大人の色香があって美しい。
ボッレもすでに45歳。この年で、これだけ維持しているのだから、練習量は相当だと思われる。
光だけで、これだけの演出ができるものなのね。
イタリアは、経済がうんぬん、政治がうんぬん、と、負の要素もたくさんあるけど、これだけの見せ場を作れる、芸術、アート、文化のレベルの高さに感嘆させられることが度々ある。
正と負の要素を併せ持つのも、イタリアの魅力なのかもしれない。
今日12月8日は祝日。無原罪の御宿り(Immacolata Concezione)。
イタリアならではの、宗教上の祝日です。
子供を授かることを天使から告げられた、マリア様のお母さんのアンナ聖人。アンナ聖人は、今日12月8日にマリア様を身ごもります。
そして、聖書のお話。アダムとイブが禁断の果物りんごを食べるのが、人間が最初に犯す罪。この原罪の汚れを一切受けずに、誕生するのがマリア様です。
なので、無原罪の御宿りをテーマにした絵画には、マリア様の足元にアダムやイヴが描かれていることがあります。

裸で地上からマリア様を見上げているのが、アダムとイヴ。そして、上半身人間の蛇がマリア様の方へ向かっているけど、マリア様が足で、「わたしに近づくな」と言うがごとく、蛇の頭を押さえつけている。
旧約聖書の登場人物のアダムとイヴが、新約聖書の登場人物のマリア様と一緒に描かれているのって、面白いでしょう。
この絵は、ルネッサンス時代の芸術家ヴァザーリの作品。
サンティアポストロ教会という、ルネッサンス時代の建物が多いフィレンツェで珍しい小さい中世の教会です。この教会に、上記の絵が展示されています。

イタリアの妊娠期間は9ヶ月。なのでマリア様のお誕生日は9月8日。もちろん、この日も宗教上大切な日。でも祝日ではありません。
えぇぇぇ。できすぎじゃん。とか、ほぉぉぉ。という印象をお持ちかもしれませんが、これをカトリック教会における教義で「ドグマ」と呼びます。
疑問を持たず、そのまま受け止めること。そして、この無原罪の御宿りは、 1854年に正式に宣言されたものなので、結構新しいものなのです。